今回の制御系は
メインCPはHNU14用を使い、エンジン制御以外のメーター類等はノーマルCPで行い、
エンジン制御に関しては HKSのF・Con/V-Proが手持ちであったためこれで行う。
このV-Proは一世代前の通称”銀プロ”であるが、
ロータリーエンジン以外ではまだまだ十分現役でいけるらしい。
ところが最終セッティング段階で問題が発生。
F・Con/V-Proで点火燃調を行ってみると
点火系の異常が発生し、3500rpm近辺で失火が発生して吹けなくなるトラブルが出た。
原因調査を行ったところ
製造元であるHKSでも 過去同様のトラブルが発生しており
どうやらダイレクトイグニッションではないSR20DEで、
さらにディストリビューターにイグニッションコイルが内蔵されたタイプでは
クランクアングルセンサーの信号にノイズが入るためか誤動作が発生し、
点火が不安定になる事があるらしい。
今回がまさにその症状で、
対策としてはディストリビューターにアースを追加する事が有効らしいが
決定的な解決にはならないらしいので
今回は基本的にF・Con/V-ProでDジェトロ燃料制御
そして、F・Con/V-ProからメインCPに対して疑似エアフロ信号を送ることで
エアフロレスでの制御が可能になり、
点火系はメインCPのデータ書き換えで行うという手法でセッティングを行った。
このため
当初行おうとしていた F・Con/V-Proによるオーバーレブ&異常ブーストに対する
点火カットによるリミッターができなくなってしまった。
今回 室内にブースト計は無く エンジンも高回転を好むため
燃料カットによるリミッターを入れることにした。
本来は点火カットの方がリミッターが効いたときのエンジン負担が無いのだが、
リミッターレスも不安なので 無いよりは良いだろう。
まずは完全ノーマル状態でパワーチェック
これが完全ノーマル状態でのパワーチェックグラフ
ほぼカタログスペックが出ており、優秀な結果だ。
3000rpmから6000rpm手前まで ほぼ一定なフラットトルクに仕上げてあり、
乗り易さ重視のエンジン性格に仕上げてあるようだ。
これがターボチューンでどのように変化するか非常に楽しみ。
9月7日エンジンセッティング。
街乗り領域でのセッティングが完了したので
シャーシダイナモ上で全開領域のセッティングを行った。
最大出力はなんと372.2ps/6500rpm 44.4㎏m/5350rpm!
予想を大きく上回る大出力になった。
今回 本当は最大ブースト1.4を考えていたんだけれど
1.2キロでタービンキャパシティを使い切って
これ以上のブーストはタービン寿命を縮めるだけと判断して
1.2を上限とした。
エンジンとしては ブースト&回転数とも全然余裕の領域であるが
こういった仕様は シフトチェンジ後のトルクの付きが良く
実走行では非常に速い車に仕上がる。
また、もう少し最大出力発生回転数が高くなるかと思っていたが
ほぼノーマルSR20DET並の回転数になった。
これも、エンジン的には8500rpmオーバーを想定しているため
まったく余裕のスペックになった。
全ての余裕はその分トラブルレスと耐久性につながるため
非常に安心感の高いチューニングとなった。
そして、この出力は触媒付きでの数値である
ミッションの流用、エンジン制御の変更等突っ込まれれば問題ありだが
このまま車検を通せる仕様になっている。
最後に、参考までに過去のパワーチェックとの比較
2台ともこのオーナーが乗っていた車である。
一番低い紫が 今回のHNU14ノーマル状態
そして、赤がチューニング後のHNU14。 圧倒的な出力差だ。
水色は以前乗っていたHNU12でS14タービンを組んでいた時
緑は同じくHNU12にGT2530を組んでいたとき。
今回使ったGT2530は このHNU12の時に使っていたタービンで
エンジンの差がこれほどまでの出力差になったと言うことだ。
しかし、今回のねらいは
ピークパワーよりも実用域での使いやすさとパワーである。
その点でも 今回のSR20DE改DETは
NA並の低速の扱い安さを合わせ持っている。
これは
ヘッドにU14のNAヘッドを使いレスポンスを維持しつつ
エンジンブロック面研とボアアップによる高圧縮比が効いている。
ブーストをかけるために圧縮比を落とすと
実用域でのフィーリングが著しく悪化する。
KSPデモカーのS14シルビアも実はかなりのハイコンプターボ。
エンジン制御が進化した現在
最大出力オンリーでなければ圧縮は高い方が良いと思われる。
アイドリング状態からのレスポンスも
OSツインクラッチの軽量フライホイルと相まって非常に良好。
走行中はアクセルを踏むと
即立ち上がるブーストと相まって非常にトルクフルで速い。
そして、クラッチは実績と安心のOSツイン
ミッションはターボ用のHNU13用ミッション。
今回のメニューには不安要素が本当に無い。
HNU1234計画トップページへ
Toyoizumiさんの担当する部屋へ